これは、もうひとつの日本の物語。

急増する少年犯罪の原因は「情緒も何もない冷たい科目」にあるという専門家の意見に従い、ついに政府は、「数学をはじめとした理系の科目を学校教育から外す」ことを宣言する。

制度がスタートして1年が経過した頃、ドクター・ピタゴラスと名乗る数学者が結成した
テロリスト集団『黒い三角定規』より『犯行予告』が届いた。

『数学教育』を止めるなどといった愚かなことを即刻に改めよ。さもなくば、とある数学の法則に従い、殺人をはじめる。人質は、日本国民全員だ。』

要求に応えないと、とある数学の法則に従い、テロ行為を始めるという。 次々と引き起こされる事件を止めることができるのは、数学を理解するものだけ─。

そこで、警視庁は、一見平凡な、しかし数学を愛してやまない中学2年生の浜村渚に協力を要請する。テロリストの洗脳を受ける心配のない中学生である渚は、数学の知識を使い、鮮やかに事件を解決。渚本人も自分の “好き” を肯定することで勇気を得る。

そして、テロ組織と対峙するなかでの渚の成長は、 同級生や大人である刑事たちにも前向きな力を与えていくのだった。 はたして渚は、彼女と同じく数学を愛するテロリスト集団に、どのように立ち向かうのか─。